マーケティングオートメーションを上手に使う3つのポイント

MA(Marketing Automation)の導入やSFA(Sales Force Automation)との連携を検討されている方、MAの活用に悩んでいる方、そもそもMAを導入する目的とは何か、など疑問や課題を抱えている方に向けたコラムです。このコラムを通し、MAを上手に使う3つのポイントを紹介するだけでなく、その真の価値をきちんと理解した上で誰に向けてサービスを提供していくのか、そのために自社に必要なこととは何か、今一度振り返るきっかけとなることを目的にしています。

ビジネスツールの真の目的

MAが日本に上陸した2014年より前にSFAが国内に広がりました。SFAが国内に到来した当時、企業は使い方を模索しながら「営業業務の効率化」を目的に徐々に導入が進んだのを覚えています。そしてMAが本国に到来し、SFAと同じように「マーケティング業務の効率化」を目的に導入が進んでいます。SFAとMAが広がるまでの時間的なラグが、それぞれの業務効率化という目的の下、企業の組織およびシステム・データのサイロ化を加速させてきました。しかし、デジタルマーケティングに早くから取り組んでいる企業は、ビジネスツールの真の目的に気付き始めています。

それは業務効率化は付加価値であり、
お客様に最適なサービスを提供することで売上の拡大に繋げるためのツールであることです。

MAを上手に使う3つのポイント

1. MAの特徴を知る
2. MAの真の価値はSFA連携にある
3. MAは2大シナリオパターンを使い分けよ

1. MAの特徴を知る

MAは、その名の通りマーケティング部門が使うツールです。主に何を自動化するかというと、対社外向けにはお客様とのコミュニケーションであり、対社内向けにはキャンペーンシナリオの自動化、閾値やトリガーからのアラート、そして営業が使用しているSFAなどと繋ぐことでお客様情報の連携を自動化できます。また、シナリオをコピーすることで、毎月や毎年のイベントなどを再利用することもできます。マーケティング・オートメーションと呼ばれる所以は、これらの特徴にあると言えるでしょう。

MAの3大特徴
・コミュニケーションシナリオの自動化
・閾値やトリガーからのアラート通知の自動化
・営業ツールとの連携の自動化

2. MAの真の価値はSFA連携にある

MAとSFAを連携せずに単独で使っている企業もあるでしょう。しかし、MAの効果を最大限に引き出すには、SFAなど後工程との連携が必要不可欠であると言っても過言ではありません。なぜなら、各部門が同じお客様情報を見ながらコミュニケーションを取らないと、お客様にとって最適なサービスの提供ができないからです。

データの持ち方にもよりますが、例えばイベント参加の意思を営業がお客様から直接いただいたにも関わらず、マーケから何度もイベント申し込みのご案内メールが届いたり、Webからトライアル申し込みをして実際に検証していることを知らずに、営業が訪問して同じサービスの紹介をしてしまうことが起こり得るのです。

MAの効果を最大限に発揮するためには、SFAとの連携が必要不可欠と述べましたが、この部門を超えたデータ連携の真の目的は、お客様に最適なサービスを提供すること。そしてその結果として、売上の拡大に繋がることなのです。この目的に対し、MAを導入するのであれば情報を繋ぐことが重要だと言えます。

プロダクトアウト型のビジネスモデルは、組織の横の繋がりが弱く、それに伴いシステムがサイロ化されている傾向があります。サイロ化された社内都合がそのままサービスに反映されることで、お客様が受ける印象は使い辛く企業が自分を理解していないというものになります。

マーケットイン型のビジネスモデルは、お客様の理解がベースにあるため、システムやデータマネジメントにおいても社内で協力し、部門を跨いで同じお客様情報を把握できる仕組みを築いています。

マーケティング活動を自動化することは、業務効率の改善、コスト削減に繋がるでしょう。しかし、ビジネスにおけるMA導入の目的は売上の拡大です。マーケティング部門が、これまでよりも効率よく集客し、コストを抑えてコミュニケーションを取り、購買確度を見極めて営業に送客した結果、売上に貢献できたことを把握するためのツールなのです。

またMAとSFAの連携は、マーケティング活動を正しく評価することにも繋がります。マーケが渡したリードが案件に繋がったか、マーケの活動がどれほど既存のお客様にリーチして貢献したかなど評価していくには、データ連携が必要です。また評価できることは、ビジネスとして注力する方向性、投資する根拠に繋がり、ビジネスの最適化ができる状態を作り上げます。この状態は、現場のモチベーションの改善にも繋がる可能性をも秘めています。

本来は、全社員が同じ方向を向いてお客様に最適なサービスを届けたいはずですが、社内の体制や仕組みの構造が理由で、お客様が最適なサービスを受けられない状態となっていないか振り返ってみてはいかがでしょうか。

MA選定のポイント、MAとSFA連携のポイント、スコアリングのコツ、MAとSFAを連携したKPIの設定、リード情報マネジメントとリードDBテーブルの活用、あるべき体制と関連部門とのアライメント(綿密な調整)などについては、コンサルティング領域になるため割愛させていただきます。

3. MAは2大シナリオパターンを使い分けよ

マーケターがシナリオを実行していくには、マーケティングのSTP(Segmentation, Targeting, positioning)を基本としたシナリオ設計を行います。これはご存知の通り、市場を細分化し、その中からターゲットを定義して、自社の強みや魅力を訴求していくものです。このシナリオ設計のポイントとなるのが、アウトバウンド型とインバウンド型の2大シナリオパターンです。これは簡単にいうと、はじめの接触が企業側からであればアウトバウンド、お客様側からであればインバウンドとなります。

アウトバウンド型シナリオとは

アウトバウンド型(プッシュ型)シナリオとは、企業側から目的を持ってお客様に情報を提供していくシナリオです。利用シーンとしては、名刺を電子化してシステムに取り込んだタイミング、お客様に電話してフラグを立てたタイミング、イベントが終了したタイミング、世の中で情報漏洩のようなセキュリティ問題がニュースの話題になったタイミングなどで発動させるシナリオがあります。また、自社サイトからリンクを貼らず、検索エンジンからもHITしないLPを準備しておき、アウトバウンドのメールからのみ誘導することで、雑音のない閉じられたターゲットだけに向けたキャンペーンの実施が行えます。

インバウンド型シナリオとは

インバウンド型(プル型)シナリオとは、お客様側から何らかの目的を持って企業に接してきたことをトリガーに自動的に発動するシナリオを意味します。例えば、お客様がトライアル申し込みをしたことをトリガーに次のようなシナリオが自動的に発動します。

シナリオサンプル
①thanksおよび導入ガイドのメールを配信
②数日後に困りごとがないか確認と相談先をメール
③トライアル終了日数日前に終了日と終了/継続方法のご案内
④トライアル終了日に継続/契約のご案内とWebアンケートのお願い
⑤Webアンケートのご連絡

インバウンド型シナリオのポイントは、購買に繋がる傾向がみられるイベント(ボタンやリンク)の発見です。これをトリガーにシナリオを設計していきます。一般的によくトリガーとして用いられるシーンは、資料DL、トライアル申し込み、イベント申し込み、キャンペーン申し込み、マイページなどのログインサイト内のボタンやリンク、採用ページの申し込みボタンなど、目的と次のプロセスがはっきりしているシーンにおいて効果が期待できます。

このように、MAは単なるメール配信ツールではないことがお分かりでしょう。MAを活用したシナリオを計画する際、ついついアウトバウンド型シナリオから始めてしまう傾向があります。しかしながら、はじめに取り組むべきはインバウンド型のシナリオなのです。なぜなら、お客様が目的を持って企業にアクセスしてきているため、案件に繋がる確度が高いと推測できるからです。機会損失を防ぐためにも、売上に繋がる可能性が高い方からシナリオを用意していくことが大切です。これにより効果を計測しやすくなり関係者のモチベーションアップにも繋がります。

さてさて、MAやSFA、データマネジメントについてもまだまだお伝えしたいことはありますが、また次回のコラムでお伝えしていきます。

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